当宿 主人の経験です。
私は、口腔底癌から頸部リンパへの転移があり、手術はできないと言われました。
しかし、ご縁があり「南東北がん陽子治療センター」を知り、「陽子線治療」と言う方法で癌を消すことができました。
そのお話をします。

口腔底癌の発見、そして転移

2014年

歯医者に通っている時に、気になっていた口の奥の塊を見てもらったところ、
大きい病院ですぐに診てもらうよう言われました。
その結果、「口腔底癌」だとわかり、手術で取り除きました。

2017年

その後、定期検査を受けながら元気に過ごしていましたが、ある日、なんとなく首のリンパ腺が腫れている気がしました。

次の定期検査の時、そのことを話すと、「なぜすぐに来ないのか」と怒られました。
結果、癌の右頸部リンパ腺への転移がわかりました。

場所が悪く、大変難しい手術になるが、すぐに手術をしなければいけない、と告げられました。

この時の私の気持ちは、危険な手術をするかどうか、大変揺れておりました。

考えて考えて、手術はもうしない、と半ばあきらめかけていました。
そして、娘夫婦に「もう手術はしないよ」と話した時のことです。
娘婿から思わぬ話が出てきました。

知り合いの方が舌癌だったが、切らずに治したというのです。

そうして教えてもらったのが、「南東北がん陽子治療センター」でした。

そうは言っても、初めて聞く病院や治療法です。
首をかしげてしまいましたが、娘婿に言われました。
「お父さんに子供たちが大きくなったところを見てもらいたいんです!」

娘夫婦のところには、小さい孫がいます。
娘婿に涙を浮かべて真剣にそう言われ、私も涙が出そうになり、「わかった」と言いました。

陽子線治療の情報収集

「南東北がん陽子治療センター」とはどんな病院なのか?
「陽子線治療」とはなんなのか?
私は、情報収集に力を注ぎました。

メリットは
・陽子線治療だけなら通院で治療することができる。1日15~30分程度の治療で、痛みがほとんどない。
 1日1回、週3~5回行い、合計4~40回程度繰り返す。
・X線の放射線治療と比べて副作用が少ない。
・身体への負担が少ないため、高齢者や体力のない人、合併症で手術ができない人にも適用できる。
デメリットとしては、
・先進医療のため、健康保険が適用されない、約250~300万円といった高額な治療費がかかる。

南東北がん陽子治療センターの「からだにやさしい がん治療」、「切らずに治すだけでなく、切れないがんをも治す」と言う、キャッチフレーズを知りました。
また、この治療法は、どんな癌でも対応できるのではありませんが、私の癌の種類にとても効果があるようでした。

行動開始

早速、セカンドオピニオンとして相談したいと思いました。
主治医に話すと、やはりすぐに「うん」とは言ってもらえず、紆余曲折がありましたが、
最終的には私のデータをもらい、「南東北がん陽子治療センター」に相談に行きました。

相談の中では、『「陽子線治療」は、大変強力な先進医療で、お金もかかる上に色々な副作用や後遺症があるかもしれない。
それを承知で治療に臨むか』と言うことを、強く何度も念を押されました。

娘婿からは、「きっと色々なことを強く言われるが、負けてはいけない、治療を受けるんだ、と強い気持ちを持ってください」と言われていたとおりでした。
元来、気の早い私は、まだ決まってもいないのに、入院の準備をして行くほど、気持ち的には負けていなかったと思います。頑張り通し、いよいよ2018年6月に、治療を受けることになりました。

私の場合は、血管を通してポイント的に癌本体に強い抗がん剤を送りながら、同時に点滴で吐き気止めを送り続ける治療のあと、陽子線照射を行いました。
抗がん剤治療もとてもうまくしてもらい、副作用に悩まされることもありませんでした。
何十回かの陽子線照射の間は、私は入院をしていましたが、それは兵庫県から通うわけには行かなかったからです。
実際、朝来て照射を受けてから仕事に行っている人たちもたくさんおられました。
入院自体は、QOLを大切にしてくれる素晴らしい施設で快適に過ごすことができました。

現在の私

陽子線治療の結果、私の頸部リンパに転移した癌はすべて消えました。

治療を受けてから2年半が過ぎています。(2021年2月現在)
今でも定期検査やPET検査は受けていますが、いたって元気です。

あの時、娘婿の話を受け入れて、治療を受けることにして本当によかったと思っています。

今、私が言いたいのは、やはり
「あきらめてはだめだな」
と言うことです。